離散事象システムの最適化
最適化を行う場合に, 個別の問題にそれぞれについてソルバーを開発するには コストも時間も必要とします. 本研究課題では, 一つのソルバーのみを使って できる限り多くの最適化問題を扱うことのできるモデル化手法に関する研究を 行っています.汎用的なモデルを表現する方法の一つとして離散事象システム を表現する際に用いられるペトリネットやオートマトンがあります. ペトリネッ トやオートトンで表現される問題に対して解法のアルゴリズムを与えておけれ ば,さまざまな問題に容易に応用することができます.
本研究課題では, このような離散事象システムを対象としたモデル化と最適化 に関する研究を行っています.
1. 離散事象システム
離散事象システムは, ある状態において, 事象が生起すると, 別の状態へと遷移する動的システムをいう. 例えば, 生産管理システム, コンピュータのオペレーティングシステム・通信プロトコルであり, 自動販売機, コンビニ等で用いられているPOSシステムといったものは, 日常生活の身の回りにおいても見かけることができます. 我々は, 離散事象システムに対し, その特徴である非同期的, 並列的, 非決定的な動作をモデル化する方法としてペトリネットを用いています.
2. ペトリネット
ペトリネットは, 離散事象システムに対して, その特徴である非同期的, 並列的, 非決定的な動作をモデル化するのに優れたツールです. ペトリネッ トは, グラフィック言語としての能力, システムのシミュレーションツール としての能力, システムの安全性・デッドロック検証等の解析を行う能力に 優れています. その反面, 指数関数的に増大する状態空間の爆発により最適 化が困難とされています. 我々は, ペトリネットを複数のサブネットに分解 し, 部分最適化と調整を行うことにより, 効率良く全体最適化を行うことを 目標にしています. 特にペトリネットを用いて, FMS(Flexible Manufacturing System)のシミュレーションを行っています.
ペトリネットの分解前と分解後
3. ハイブリッドシステムの最適化
離散的な状態の変化と連続的な状態の変化が混在するシステムをハイブリッドシステムといいます.本研究ではハイブリッドシステムによるモデリングと最適化手法に関する研究を行っています.