放射性廃棄物処分システムにおける安全評価や福島第一原子力発電所事故における環境動態では、共通して放射性物質の移動やそれによってもたらされる放射線からの被ばく線量が深く関係します。

 当研究室では、水、雪、土壌、コンクリートなど、様々な材料に対する放射線の遮蔽解析を始め、環境中(土壌中)での放射性物質の移動に伴い変化する濃度分布の変化と連動させることにより、地表面における放射線の遮蔽効果の変化、更には空間線量率の変化を解析する手法(物質移動・遮蔽・線量率連成解析)などについて研究しています。また、同様な手法を原子力施設を構成するコンクリート壁にも応用し、施設内部が汚染した場合について、コンクリート内部への放射性物質の移動と連動してコンクリートによる遮蔽、更にはコンクリート施設内(室内)での線量率分布を解析する手法について研究しています。更に、吸引や経口摂取などに伴う内部被ばく線量(預託実効線量)を評価するためのシステムの開発(図1内部被ばく線量計算システム)なども行っています。

内部被ばく線量計算システム
(実行例:一般公衆の成人がCs-137を100Bq経口摂取した場合の預託実効線量)